2018年8月13日、中部国際空港の国際線出国エリアで、旅行客の手荷物から煙が出る騒動が発生しました。煙の発生源は手荷物に入れていたパソコン充電用のモバイルバッテリー、しかもリチウムイオン電池だったそうです。
リチウムイオン電池と言えば、手荷物で厳しい規制があったよな…と思いながら、今までしっかり把握していなかったため、これを機に携帯用電子機器のリチウムイオン電池に関する規則を調べてみました(リチウム金属電池の情報情報は省いています)。
リチウムイオン電池に関する日本の規則
モバイルバッテリーは「予備電池」に該当
国土交通省が公開している携帯用電子機器のリチウムイオン電池に関する規則は「電子機器本体」と「予備電池」に分けて規定されています。
モバイルバッテリーは「予備電池」に該当し、機内持ち込みのみ認められています。ただし、全ての予備電池が認められているわけではなく、後述のように容量による規制を受けます。また、この規制は航空会社ごとに微妙に異なるようです。
「予備電池」の規則
携帯医療用を含め、電子機器の予備電池は機内持込のみ可能です。予備電池は容量によって個数制限があります。なお、持込可能な電池は短絡防止の措置が必要です。
ワット時定格量 | 持込 | 預入 | 数量 | 備考 |
100Wh以下のもの | ○ | × | 制限なし | |
100Whを超え160Wh以下のもの | ○ | 2個まで | 組電池 | |
160Whを超えるもの | × | ー |
「電子機器本体」の規則
携帯医療用を含め、電子機器本体は「ワット時定格量160Wh以下」であれば機内持込も預け入れも可能です。個数制限はなさそうです。
預ける場合は以下の処置を執る必要があります。
- 偶発的な作動や損傷を防止するための措置(強固なスーツケースへの梱包、衣類などによる保護など)を執ること
- 電源を完全に切ること
その他
いくら携帯できると言っても、電動自転車や電動の乗り物は本体・予備電池ともに預け入れも機内持込も不可となっています(電動車椅子や電動歩行補助車以外)。
各航空会社のルール
私がお世話になったことのある会社を中心にまとめました。各社微妙に異なる部分があります。なお、国際線は出発地のルールに合わせる必要があります。
全日空(ANA / NH)
国土交通省のルール通り(国内線・国際線とも)
日本航空(JAL / JL)
国土交通省のルール通り(国内線・国際線とも)
スカイマーク(SKY / BC)
予備電池の制限
予備電池は「2個」までに制限され、機内持込のみ可能です。
※HPの表現からすると、リチウムイオン電池は「ワット時定格量100Wh以下」も含めて2個以内の制限のようです。
電子機器本体の制限
電子機器本体は医療用のみHP上に記載があります。「ワット時定格量160Wh以下」であれば機内持込も預け入れも可能です。個数制限はなさそうです。国土交通省のHPに関する記述がありますので、このルールに従うとすれば、医療用でなくとも「ワット時定格量160Wh以下」にしておけば大丈夫そうです。
ソラシドエア(SNJ / 6J)
国土交通省のルール通り(ANAとのコードシェア便があるので当然といった感じです)
ジェットスタージャパン(JJP / GK)
HPで公開されている危険物リストは国土交通省のルール通りです。
ただし、別のページには下記の記載があります。恐らく、IATAの規則による部分ではないかと思います。
- 予備電池は1人あたり20個まで
- 100Wh以上160Wh以下のものは航空会社の許可(事前申請)が必要
バニラエア(VNL / JW)
国土交通省のルール通り(国内線・国際線とも)
ピーチ(APJ / MM)
国土交通省のルール通り(国内線・国際線とも)
チャイナエアライン(CAL / CI)
国土交通省のルールと同じ(台湾発の場合も)
エバー航空(EVA / BR)
台湾の航空会社ですが、HPを見る限りチャイナエアラインとはルールが若干異なるようです。なお、日本語のHPは機械翻訳のためか文章がおかしくなっていました。
予備電池の制限
ワット時定格量 | 持込 | 預入 | 数量 | 備考 |
100Wh以下のもの | ○ | × | 20個まで | ※ |
100Whを超え160Wh以下のもの | ○ | 2個まで | ※ | |
160Whを超えるもの | × | ー |
※ 短絡防止の措置が必要
電子機器本体の制限
ワット時定格量 | 持込 | 預入 | 数量 | 備考 |
100Wh以下のもの | ○ | ○ | 15個まで | ※ |
100Whを超え160Wh以下のもの | × | × | ー | |
160Whを超えるもの | × | × | ー |
※ 電源を切ること(スリープモード不可)
まとめ
航空会社ごとに個数制限など微妙な違いがあります。また、今回は省略したリチウム金属電池についても制限がありますので、旅行前にルールの確認をされることをおススメします。