日本ではあまり知られていませんが、台湾では教科書に登場するほど有名な日本人がいます。それが、八田與一(現在の字体では「与一」)氏です。台湾では「バーティエン・ユーイー」のような発音になるようです。八田氏は日本統治時代に土木技師として台湾へ赴任し、ダム(烏山頭水庫)をはじめとする水利事業(嘉南大圳)の陣頭指揮を取りました。今回は八田氏が建設に携わった烏山頭水庫を訪問してきました(2018年1月、2回目)。
なぜ八田與一氏は台湾の人から慕われるのか?
一番大きな理由は、日本人と台湾人(現地の人)を区別しなかったためと言われています。この姿勢は烏山頭水庫建設中に事故で殉死した作業員の慰霊碑(殉工碑)にもあらわれています。慰霊碑は現在でも烏山頭水庫の敷地内に残されています。
慰霊碑は八田與一氏が中心となって建立しました。
殉死者の名前は亡くなった順に記載されています(日本人と台湾人の区別はありません)。
その八田與一氏ですが、1942年5月(太平洋戦争中)、フィリピンへ向かうため乗船していた客船が撃沈されて亡くなりました。八田氏の死後、有志により銅像が作成され、毎年5月には慰霊祭が行われています。
八田與一氏の銅像とそれにまつわる事件発生!
八田與一氏の像ですが、2017年4月に頭部が損壊される事件が発生しました。事件自体は悲しいことではありますが、事件後すぐに台湾(特に台南)の方々が事件を悲しみ、修復に動いてくださったのは嬉しかったです。写真は損壊前(2015年10月訪問時に撮影)です。
修復は2017年5月に完了し、2018年1月の訪問時には以前と変わらない姿になっていました。
周囲の規制が厳しくなったのは残念ですが、事件があったので仕方ないですね。以前はこの規制線の前まで車で入れたのですが、2018年1月には少し離れたところで降車しなければなりませんでした。
烏山頭水庫への行き方
台鐵隆田駅から烏山頭水庫へ
烏山頭水庫周辺は交通の便が悪く、敷地内が広いため、台鐵隆田駅からタクシーの利用がおススメです。貸切(往復+簡単なガイド)でNT$800程度です。注意していただきたいのは、烏山頭水庫の入園料が別途NT$100必要です。これは烏山頭水庫の入口で徴収されます(入口で運転手が窓を開けます)。
台鐵隆田駅で駅前のタクシーに烏山頭水庫へ行きたい旨を伝えると、「往復で800元だけど乗る?」のような形で聞いてきます(入園料が別途必要という話はされないので注意!)。時々日本語が話せる運転手もいますが、運次第です。
台北方面から台鐵隆田駅まで
台北方面から移動する場合、台鐵嘉義駅で乗り換えが必要になります。台鐵隆田駅は台鐵嘉義駅から45分程度で、區間車(各駅停車)と一部の莒光號(急行)が停車します。
1.高鐵(台湾新幹線)利用の場合
高鐵嘉義駅まで移動し、BRT(バス)で高鐵から台鐵嘉義駅へ移動が必要になります。BRTは「嘉義公園」方面行きに乗車してください。なお、高鐵利用者はチケットを提示すればBRTを無料で利用できます。
高鐵のチケットは当日でも取得可能だと思います。
2.台鐵のみ利用の場合
多少時間を要しますが、自強號(特急)でも台北から嘉義まで移動できます。この場合、自強號乗車分の切符と嘉義から隆田までの切符を別々に購入する必要があります。なお、自強號の一部には新型車両のプユマ号が運行されていて、このプユマ号を利用できれば高鐵と変わらない程度の時間で移動できます(全席指定で満席となっていることが多い)。2018年1月の時点では、台北との間に1日1往復しか設定がありませんでした。
プユマ号に限らず、台鐵の特急(自強號)は当日に満席ということが多いです。有難いことに台鐵では外国人でもインターネット予約が出来ますので、こちらで予約されることをおススメします。旧型の車両を用いた自強號や莒光號では「無座」というチケット(立席切符)も販売されますが、長距離移動の場合はきついのでやめた方が良いと思います。個人的な経験では、無座で我慢できるのは1時間以内です。